気管支喘息
どんな病気?
気管支喘息はその症状が、夜中から明け方にかけて出ることが多く、呼吸困難やヒューヒュー、ゼーゼーといった呼吸をする喘息発作症状から、咳嗽だけがひつこく出るものまで程度は様々です。もともと小児喘息があって、成人になってからも時折発症することもあれば、成人になってからはじめて発症することもあります。
感冒や気管支炎をきっかけに出現することもあれば、ペット(犬や猫以外でも、最近ではウサギやハムスター、モルモットなど)のアレルギーから発症することもあります。ペットを飼い始めてすぐには症状が出ないことが多く、1~2年たってから重症の発作を発症するのでペットが原因と気が付かないケースが多くみられます。また花粉症などのアレルギーを持っている方は喘息を発症しやすいです。
どんな検査が必要なの?
気管支喘息の診断は、決め手となるような検査は実はありません。それだから患者さんの詳細な症状、経過、アレルギー歴、ペットの有無といった診察時の問診が非常に大事となります。
気管支喘息は、むつかしくいえば『気道の慢性炎症で可逆性の気道狭窄』によっておこる咳や痰、呼吸困難となりますが、その原因は様々です。
喘息のリスク因子
- ・遺伝子素因:御両親に喘息の方がいると発症リスクは3~5倍程度高くなります。
- ・アトピー素因(アレルギー体質):食物(卵、魚、牛乳など)アレルギーや花粉症など
- ・喫煙、受動喫煙(胎児期~幼少期)
- ・大気汚染(屋外、屋内)
- ・気象(気圧や冷気など)
- ・薬物(解熱鎮痛剤、湿布薬など)⇒アスピリン喘息
- ・運動(運動誘発性喘息)
- ・呼吸器感染症
自分では気づかないアレルギー体質が潜んでいることも多いので、診断の前に血液検査でハウスダストやダニなどのアレルギーを調べることは必要です。
どうやって治療をするの?
私が医者になりたての頃は、多くの喘息患者さんが救急外来で連日点滴を受けており、喘息の発作で命を落とす方も少なくありませんでした。しかし吸入ステロイドが普及した現在では、喘息死は劇的に減っています。
まずは喘息のリスクを少なくするために、禁煙はもちろんのこと室内のこまめな掃除、換気は大事です。ペットが原因であれば、可能なら飼育は避ける。(少なくとも室内で飼うことは避ける)冷気を吸い込まないように外出時にはマスクを装着するなどです。
喘息治療は長期管理薬(コントローラー)と発作治療薬(リリーバー)の二本立てで治療をします。
- ①長期管理薬(コントローラー):喘息症状の軽減・消失とのその維持を目的とします。
- ・吸入ステロイド薬(+長時間作用性β刺激吸入薬)
・ロイコトリエン受容体拮抗薬(内服薬)
- ②発作治療薬(リリーバー):今起こっている発作を軽減するために使用します。
- ・短時間作用性β刺激吸入薬(頓用)
・場合によってステロイドを短期間内服
しかしなんといっても、吸入ステロイド薬が喘息治療の主役であって、症状が落ち着いても長期にわたって続けることが大事です。