
睡眠時無呼吸症候群
どんな病気?
私が駆け出しの呼吸器内科医のころは、まだ世の中に知られていない病気でした。日本では2003年に新幹線の運転手による居眠り事件がきっかけとなり、世に知れ渡るようになりました。
いびきをかく人は日本人では約2000万人いるといわれています。人は仰向けになると重力の影響を受けて顎が下がり、舌根が下がって気道が狭くなるため、そこを空気が通ると咽頭の粘膜を震わせて音が発生します。これがいびきのメカニズムです。気道の閉塞が強い場合、呼吸が一時的に止まる無呼吸の状態になります。
10秒以上呼吸が停止している状態を無呼吸といいますが、寝ている間に1時間当たり5回以上無呼吸がみられる状態を睡眠時無呼吸症候群といいます。ひどい人は2分間程度呼吸が停止していることがあります。この病気では睡眠中に酸欠状態となりまた睡眠不足の状態となるために、様々な生活習慣病(高血圧、糖尿病、心臓病、脳卒中など)を合併することがわかっています。重症の場合、治療をしないと8年後には40%近くが何らかの原因で亡くなることが報告されています。
どんな検査をするの?
まずは自宅で可能なスクリーニング検査(簡易検査)を行います。検査の結果、疑いが強いとわかると、連携病院に紹介して1泊の検査入院(ポリソムノグラフィー検査)をしてもらいます。
睡眠時無呼吸症候群の検査
1.簡易検査(自宅で検査) 酸欠状態の有無を確認

疑われる場合 ▼
2.ポリソムノグラフィー(病院で1泊の検査)
どうやって治療するの?
検査の結果、確定診断となれば、軽症の場合は口腔内装具を歯科で作成してもらい、就寝時に装着します。中等から重症の場合ははCPAPという器械を就寝時に装着します。そうすることで今までつらかった症状から解放されます。その場合器械は業者さんからレンタルすることになります。
ただしこれらの治療以外に生活習慣の改善も必要です。
- ○ダイエット
- 睡眠時無呼吸症候群の患者さんは肥満が原因で発症するケースが多く、減量することで症状が軽減することがあります。
- ○飲酒の制限
- アルコールは気道の筋肉を緩め、気道閉塞を起こさせやすいので寝酒はよくありません。」就寝前の4時間は飲酒を避けてください。
- ○禁煙
- 喫煙は上気道の炎症を起こすため睡眠時無呼吸症候群に悪影響を与えます。
CPAP療法に使用される様々なマスク
- ネーザルマスク
- フルフェイスマスク
- ピローマスク